経営に必要な武士道七つの徳
標のない世界を強く生き抜くためには哲学が必要だ
それは1人の人間のみならず、家族や企業、国にもいえるだろう
日本に哲学は無いと言われるが、海外のそれとは違うカタチで存在している
我々の先人は知識のための知識を嫌った。
実践し、体現する為にこそ知識を活かしてきた。
その集大成が武士道にある。
実践を通して人としての生き方を追求する道。
現代人が立ち返る出立点として
武士道の徳目七つを挙げる。
【義】目先の利ではなく、人として、正しい行いのこと
人はつい自分だけの事を考えてしまう弱さがある。
弱い自分にとって好ましいことを原則に行動、選択をしていると、本当に自分が望んでいること、正しい判断を見失ってしまう。
義を忘れて生きれば、束の間は凌げても、自身の人選で得られるものはなくなり、無意味と未練だけが増すことになる。
義を為せば、人として得るものは増え、充実へと繋がる。
個人の充実は組織、社会、国へと拡がる。
自分を偽らない生き方を示すものが義である。
企業においては、在るべき姿を示す義を通せば、自ずと人の心は集まり、強い組織となる。
【忠義】真心を尽くし、一体となる支柱
忠義とは本来、主人と従者の心情的一体感を生み出し、共に戦う、強い結びつきを支えるものである。
忠義があれば上司と部下、師と弟子、親と子は対立、敵対することなく一丸となって困難に立ち向かうことができる。
優れた仕組みやシステムを上手く活かせるかは、忠義の有無で決まるのだ。
企業においては組織力、チームワーク、団結芯に通じる。一人一人の持ち味、強みを活かし、全体として大きな力を発揮できる絆を生み出してくれる。
【勇】自分と相手を信じ、覚悟を持って挑む力
勇とは自立を支えるもの。
自分の身は自分で守る。
自分の始末は自分でつける。
何事も自分で決められると腹が据わって力が湧いてくる。
皆が責任を取らない環境では、自分の尊厳を見失う。自分の信じる正しさを通す勇気は、間違いを認める勇気と表裏一体である。
企業において勇は、個人と組織の成長を著しく加速させる。
良きところは明らかになり、改めるべきことも明らかになる。
一つの失敗を致命傷にしない環境作りは一人一人の勇か必要となる。
【誠】想いと行いの一致
想いと行い、内と外を一致させることが誠の本質である。
為すべき正しさを知っていながら行動しない。行動しても想いがない。これはどちらも不誠実になる。
今も昔も想いと行動を一致させることは難しい。
だからこそ内と外を常々反省し、尽くし難い自分を尽くし続けることが美徳とされた。
企業において誠の姿勢は、強固な信頼、信用を生み出し、市場基盤を固めることができる。
全ての行動が人の心を結びつけ、大きな成果をもたらす器をつくる。
【名誉】恥とは何かを知る
我々の先人は単に自分が生き長らえるためだけでなく、自分の祖先を尊び、子孫が強く胸を張って生きられるように名を残した。
恥じる事のない生き方が、強く生きる力になる。
名誉とは、過去、現在、未来を繋ぎ、今を生きる私たちに力を与えてくれるものである。
企業において、名誉心を持って活動するということは、個人、組織が企業の一員であることに誇りを持ち、堂々と商いに取り組むことに繋がる。
そうして名を挙げ評判が集まれば、後世に名を残し、愛され続ける企業となる。
【礼】他者への敬意と思いやり
人と交流し、共に何かを創り上げる中で、人はつい自分の意見を通そうとして、他者への敬意を欠いて対立してしまう。
優先すべきは我を通すことではなく、皆んなにとってより良い方向に向かう最善を考え行動することである。
礼とは他者への敬意と思いやりを目で見えるカタチで表現することである。
礼をもって人と接すれば、不快な対立は起こらない。
会社も同様、社内での対立や競争をなくし、全体にとっての最善に向かう環境を形成することが求められる。
【仁】人、物を憐れみ、活かし、愛する心
当たり前のことではあるが、人は1人で生きることはできない。
己と他人の持っている力を認めて活かし、互いを補い合うことで大きな成果を生むことができる。
しかし、個人がどんなにスキルやテクニック、知識に富んでいたとしても、人を思いやる姿勢、相手を認める心が抜け落ちると、その力は活かされない。
企業においては、
単に職場の人間関係を合理的に円滑にしようとするのではなく、前提として愛する家族のように仲間を思う意識で、同じ方向を見続けることができれば、どこにも劣ることのない強固な企業として生まれ変わるだろう。